基本的な仕事内容を分けると5つ
薬のエキスパートである薬剤師の仕事内容の基本的なものを、大きく分けると5つあります。調剤業務、服薬指導、薬歴管理、健康相談および啓蒙活動です。ここでは、これら5つの仕事内容をおおまかにみておきたいと思います。
本業としてまず第一にくる調剤業務
まず調剤業務からです。薬の専門家である薬剤師は、欧米とは異なり、薬を自らの判断で処方するという処方権を持っていません。あくまで病気の診断をする医師が病気の診断結果を元に、それに対する薬を何にするかを決定するところまですべてを行い、その処方箋をもとに、薬を調合したり、包装するだけです。
これは、一つには、医薬分業によって薬の処方と調剤を分離し、分担し合うことになっているここ日本においては、調剤や服薬指導に専念することができることになっていますが、その際、診断に合う薬剤も診断者である医師に任せる方が適切な処方ができるという考えがあるからです。
こうすることで、医療の質の向上や患者の安全性を確保することができると考えられているのです。
なぜ服薬指導が必要となるのでしょうか
調剤薬局では、医師に処方された薬剤を調剤し終わると、その薬剤の使い方や注意事項が細かく患者さんに説明されます。これが服薬指導です。具体的には、薬の効果や副作用、服薬方法やタイミング、併用禁忌や注意喚起及び服薬状況や問題点の確認などがあります。
この服薬指導を通じて、患者さんは適切な服薬を行うとともに、副作用を回避できることになります。
薬歴を管理することも大切な仕事
次に薬歴管理をみていきましょう。患者の服用履歴やアレルギーなどを記録することで、適切な服薬指導ができるのです。薬歴管理は、患者さんの薬物療法に関わる情報を継続的かつ一元的に管理することで、薬物療法による事故や重大な副作用を未然に防ぎ、患者さんに対して安全かつ適正な薬物療法が提供できるようにするために必要です。
また、薬歴管理は、調剤報酬請求(薬学管理料)の根拠となる記録でもあります。薬剤師は、上記のような、処方された薬剤の適切な調剤やその指導だけを行っているわけではありません。その他に、患者や一般の人から、病気や健康に関する質問に答えるといった健康相談にのったり、また、薬の正しい使い方や安全性などについて、広く情報提供するといった啓蒙活動も行なっています。
高度化する薬剤の専門知識を分かりやすく説明するのも大切な仕事の一つなのです。