繁忙期に注意すべきミスと防止策とは
業務が立て込む繁忙期には、普段は起きないような小さなミスが積み重なり、大きなトラブルへとつながることがあります。薬剤師の仕事は正確さが求められるため、忙しい中でもミスを防ぐ仕組みと意識が不可欠です。特に調剤や服薬指導の場面では、時間の余裕がなくなることで確認不足や見落としが起きやすくなるため、事前の対策や日々の意識づけが重要になります。今回は、繁忙期に起こりやすいミスの傾向と、それに対する具体的な防止策について解説します。
調剤ミスの背景と確認作業の徹底
繁忙期は処方せんの枚数が急増することで、調剤作業のスピードが求められます。その結果、薬の取り間違いや数量ミス、添付文書の確認漏れといったヒューマンエラーが発生しやすくなります。
こうしたミスは、通常であればダブルチェックで防げるケースがほとんどですが、時間的余裕がないと確認が疎かになるリスクがあります。対策としては、調剤フローをマニュアル化しておく、バーコードや自動分包機の活用を徹底するなど、作業工程にシステム的なチェックポイントを組み込むことが効果的です。
服薬指導時の情報伝達ミス防止は
忙しい中での服薬指導は、伝えるべき情報の抜け漏れが発生する可能性が高まります。患者の体調や服用履歴を把握しきれないまま対応すると、副作用や飲み合わせに関する注意点が十分に伝わらないリスクが出てきます。
これを防ぐためには、電子薬歴の活用や服薬指導チェックリストを導入し、指導内容を定型化・可視化することが有効です。また、患者との対話時間が短くなっても、要点を絞った丁寧な説明を意識することで信頼関係の維持につながります。
精神的な焦りが招く判断ミスへの対処
忙しさが続くと、集中力や判断力が落ち、普段なら気づけるミスを見逃してしまうことがあります。とくに「急がないといけない」という心理状態が続くことで、冷静な判断ができなくなり、結果として確認を飛ばしてしまうなどの行動が増えてしまいます。
このような状況を避けるには、業務量に応じた役割分担の見直しや、スタッフ間での声かけ・報告体制の強化が必要です。また、意識的に数分の休憩を挟むだけでも、頭を切り替えてミスの予防につながります。
繁忙期こそ、冷静さを保つための環境づくりが求められます。