薬局の繁忙期と閑散期の違いとは
医療現場を支える職業の一つである薬剤師は、年間を通じて多くの人と向き合いながら仕事をしています。その中でも季節や時期によって業務の忙しさに差があることをご存じでしょうか。繁忙期には調剤・服薬指導・在庫管理などが重なり慌ただしくなる一方、閑散期には業務を見直したり研修を受ける時間が確保しやすくなるなど、それぞれに特徴があります。今回は薬剤師の年間スケジュールを通して、繁忙期と閑散期の実態について見ていきます。
冬場に集中する処方せん対応のこと
一年の中でも特に忙しくなるのが冬の時期です。この季節はインフルエンザや風邪が流行するため、外来患者が急増し、それに伴って処方せんの枚数も大きく伸びます。その結果、薬剤の在庫管理、調剤の待ち時間、服薬指導の時間確保など、業務全体に負荷がかかりやすくなります。
また、年末年始が近づくと休日対応の準備や事務処理の締めも重なり、普段よりも長時間勤務になることも少なくありません。特に新人が多い時期と重なると、教育との両立も必要になり、現場全体の工夫が求められます。
春の変化期と人員調整の工夫とは
春は繁忙期と比べればやや落ち着くものの、新しい人材の配属や異動などが多く、内部の調整に追われやすい時期です。新人の研修や業務引き継ぎ、システムの更新といった作業が重なり、通常業務に加えてマネジメント側の仕事も増える傾向があります。
患者数自体は安定しているものの、薬局内のオペレーションが変わることで、一時的に作業効率が落ちる場合もあります。この時期には、教育係やリーダー層が中心となって現場の安定化を図ることが求められます。
チームとしての結束や役割分担の見直しが、働きやすさに大きく影響します。
閑散期にできる取り組みと整備について
夏場や秋口は比較的落ち着いた時期とされ、薬剤師にとっては業務の見直しや学びのチャンスでもあります。処方数が減少し時間に余裕ができる分、マニュアルの更新、在庫棚の整理、法改正への対応準備、社内研修など、普段後回しにしがちなタスクに取り組む時間を確保できます。
また、スタッフ間で有休の調整を行いやすく、リフレッシュしながら働く体制づくりにも適しています。長く安定して働くためには、こうした閑散期を活用して現場の改善を積み重ねることが欠かせません。